先刷り・後刷り【さきずり・あとずり】

プロセス4色(いわゆる普通のフルカラーの印刷)の刷り順は、K→C→M→Yとなる(トラッピング【トラッピング】参照)。

では2色の印刷の場合や、4色+金などの印刷の場合はどうだろう。

■2色機などでの刷り順
(1)タック値の高いものから順に刷る様にします。
後刷のインキのタックを下げる時にはレジューサーかコンパウンドをし使用します。ニスは使用しないでください。
(2)絵柄の多い方を後刷りにします。バックトラッピング(後刷りのインキに先刷りのインキが混ざってくる事)防止の為。

■特殊インキがある場合
金・シルバーホワイト・蛍光の刷り順は特に決っていませんが,金インキとシルバーインキの比重を比べると金の方が大きいので,金インキは先刷りの方が良い結果を得る事ができます。金インキに印圧をかけすぎると発色が悪くなるという事は考えられませんが,金インキの場合極力一回の印刷で終るようにインキ盛り量を考慮して下さい。2~3回と通すたびに発色が落ちてきますので注意して下さい。

JAGAT「印刷技術情報」より

なるほど分かりやすいですね。当社では4色+金などの印刷では、6色機の2胴目に金インキを入れて先刷りしています(1胴目は空胴=空通し、3〜6胴=KCMY)。金や銀インキは不透明度が高いので後刷りの方が良さそうですが、上のような理由があるんですね。

2色の場合は濃度の高い順で印刷します(例えばスミ+特色イエローなら、スミ→イエロー)。掛け合わせがある2色の印刷物の場合は、色校を取るのであれば色校の段階から刷り順を指定しておいて、本機(本番の印刷)でもトラブルなくスムースに行くようにしたいですね。

上にタック値(たっくち)というのがでてきましたが、これはインキの粘度をあらわすもので、後刷りのインキは必ずタック値を下げておく必要があります。というのも、後刷りよりも先刷りのインキタックが低ければ、後刷りのインキに先刷りインキが取られてしまう(かすっぱげてしまう)からです。

レデューサーとかコンパウンドというのは、インキに混ぜる助剤で、レデューサーはタックを低下させて流動性も上げる(「混ぜにくくて、インキが軟らかくなりすぎる」らしい)。コンパウンドはゼリーコンパウンドのことで、インキのタックを低下させ流動性を抑制(!)する(「ゼリー状なので混ぜやすく、インキが軟らかくなりすぎない」らしい)。

ニスは使用しないでください、とあるが、ニスは植物油から構成されているのでタックが低下しにくいようだ。ユポなど合成紙を印刷する際の合成紙用インキは、石油系溶剤が使えないのでニスを使うといいそうだ。