湿し水【しめしみず】

オフセット印刷は、刷版上の親水性の部分に水をつけ、親油性の部分にインキをつけることで印刷を行う仕組みだが、この親水性の部分につける水のことを「湿し水」という。

湿し水には、エッチ液という添加剤を入れる。エッチ液は、版の保水性を保つ成分、版のゴミを取り除く成分、また、アルコール(IPA=イソプロピルアルコール)などを含んでいる。アルコールは、版上の細かい部分にまで水が入っていく手助けをさせるためのもの。実験映像で、表面張力で丸くなった水滴にアルコールを垂らすと水滴が平らに拡がるのを見たことがあると思う。これと同じことを湿し水で行い、表面張力を下げることで、細かい部分にまで水を行き渡らせる。

印刷業界は、環境への影響およびオペレーターへの負荷を抑えるために、ノンアルコールで印刷を行う方向に進んでいる。ノンアルコールでも問題なく刷れる印刷機が導入され、エッチ液もノンアルコールタイプのものを使うことが増えている。