スプレーパウダー【スプレーパウダー】

 

油性オフセット印刷特有の機構

 オフセット印刷では印刷後の排紙部(刷った用紙が1枚ずつ積み重なっていく部分)で、用紙の1枚1枚の表面に粒子状の粉をふりかける機構が付いている。これを「スプレーパウダー」という。

 印刷後、インキはインキ中の溶剤が用紙に浸透し、皮膜が硬く締まる(「セット」という)。これにより、印刷した用紙が排紙部で積み重なっていってもインキが用紙裏に付くことがなくなる。その後、皮膜は時間をかけて酸化し、完全に乾燥する(「酸化重合」という)。

 スプレーパウダーは酸化重合を助けるためのもので、微細な粒子を用紙の表面に噴きかけ、用紙と用紙の間にすき間を作って酸化を促す。

 スプレーパウダーで起こりうるトラブルとして、スプレーパウダー過多によりPP貼り加工の際に用紙とフィルムの間に気泡ができてしまうということがある。加工が必要な印刷物の場合は、パウダーを粒子の細かいものに切り替えるなどして対応する(反対に、板紙の印刷では、一般の用紙よりも重量がかかり裏付きしやすいので、粒子の大きいものに切り替える)。その他のトラブルとして、故障によるパウダーのボタ落ち(印刷面に粉のかたまりがボタッと落ちる)などがある。

 スプレーパウダーは、でんぷんの粉であり、とうもろこし、じゃがいも、小麦粉などからできている。印刷物の利用者が万が一吸い込んでも、健康上の問題はない。