トラッピング【トラッピング】

印刷時に、先に刷ったインキの上に後から刷ったインキが転移することを「トラッピング」という。

4色(プロセス4色=カラー)で印刷するときは、通常「K(ブラック=墨)→C(シアン=藍)→M(マゼンタ=紅)→Y(イエロー=黄)」の順で印刷を行う。一般的に、カラーの印刷物の絵柄面積は、Kが最も少なく、Yが最も多い。先に刷ったインキに後から刷るインキは転移しにくいので、インキの面積が少ない方から順番に印刷すると転移が上手く行くという理由で、この順番で印刷している。また、最初に刷る胴は、紙粉の影響を受けやすいので、もっとも濃度が高く汚れが目立たないK版から刷るという理由もある。

プロセス4色のセットインキは、この順番で印刷するようにインキの「タック値」を調整している。タック値とは、インキの粘着性をあらわしており、先に刷るインキの方がタック値が高く、後に刷る方が低くなっている。先に刷るインキのタック値を高くしておくことで、後から刷ったインキがその上にのりやすくなる。

刷り順のトラブルとして、色校正時に刷り順を変えて印刷したため本番の印刷で色が合わなくなる、などがある。

後から刷ったインキがうまくのらないことを「トラッピング不良」という。インキのタックバランスが悪い時や、先刷りでインキを盛りすぎた時、また網点の総インキ量が300%を超えたりすると、トラッピング不良が起こる。

「平台校正」は、カラーでも1色ずつ時間を置いて重ね刷りしているケースがあるので、ベタの重ね刷りの濃度が上がりやすい。印刷機は高速で回転しているので、先に刷ったインキが乾いていないうちに次のインキを刷る。よって色校正よりもトラッピング部分の濃度が出にくい。トラッピング不良の一種ともいえる。

後に刷ったインキが先に刷ったインキを取ってしまい、取られたインキが後刷りのインキローラ部に入り込んでインキ濁りを起こすことを「逆トラッピング」という。