印刷用紙は次のように表記する。
■連量
同じ銘柄の用紙でも、サイズ(菊判、四六判、A判、B判ほか)、目(T目、Y目)、連量(いろいろ)を各種取り揃えており、バリエーション数は多数になる。例えば、ニューVマット(三菱製紙)には、輪転印刷用の巻き取り用紙まで含めると全部で34種類のバリエーションが存在する。
用紙のバリエーションのうち、やや分かりづらいのが「連量」。連量は用紙の厚さを分かりやすく表すものであり、用紙代の計算にも役立つ。
用紙は銘柄ごとに抄造方法が異なり、抄造ロットによっても微妙に違いが出るので、厚さを測ると、それこそ無限の厚さがある。だから、用紙の厚さをmmで表さなければならないとすると、例えば用紙を注文するときに「ニューVマットの菊判Y目、厚さは、えっとちょっと待ってくださいね、今測ってみますから……。大体0.13mmだなあ。この大体0.13mmのものを500枚ください」というように非常にまどろっこしいやりとりが発生する。そして、無限に厚さがあるのだから、記憶することができない(外出先からはまず発注できない)。
そんなわけでその用紙1,000枚の重さである「連量」をもって厚さを表すようになっている。分かりづらいのは、同じ銘柄の同じ厚さの用紙であるにもかかわらず、用紙のサイズによって連量表記は変わるということだ。先にあげたニューVマットの場合、同じ厚さの用紙でも、四六判の連量表記は〈110〉、菊判は〈76.5〉、A判は〈70.5〉となる。連量はその用紙1,000枚の重さを表すものであるから、サイズが大きくなれば重くなるし、逆に小さくなれば軽くなるということだ。
用紙代の計算は連量表記があるおかげで大変計算しやすい。コート紙などの一般印刷用紙の値段は、紙商社から「キロ単価」で提示される(その用紙1kgあたりの値段)。以下、仮のキロ単価を設定して用紙の値段を計算してみる。
■用紙と使用枚数:コート 4/6T〈73〉5,000枚
■キロ単価:150円
■計算方法:5,000枚÷1,000枚×73kg×150円=54,750円
■計算の説明:用紙1,000枚の重さが73kgなのだから、全部で何kgになるかを計算するために全使用枚数(5,000枚)を1,000枚で割る。それに連量(73kg)をかけると総kgが分かる。キロ単価は1kgあたりの値段だから、総kgにこのキロ単価をかける。すると金額が分かる。
もし連量という表記方法がなかったら、用紙サイズ、厚さによって無限にある用紙の種類それぞれに別々の用紙単価を設定しなければならず、誠に不便だっただろうと思う。