「刷版」は、印刷機にセットする印刷版のこと。
オフセット印刷では、PS版(Presensitized Plate)というアルミ製の板を使う。
PS版の表面には親油性の感光剤が塗ってあり、製版フィルムをのせて感光させてから現像すると、露光していない部分だけが残り、あとは洗い流される。
残った部分は親油性なのでインキがつくようになり、洗い流された部分は反対に水がつくようになる。
印刷機ではインキと水を供給し、水と油が反発しあう原理を利用することで、絵柄がある部分にだけインキがついて用紙に印刷されるようになる。
ポジフィルム用の刷版は、露光した部分が洗い流されるようにできており、ネガフィルム用の刷版は露光していない部分が洗い流されるようにできている。
刷版工程では、フィルムについたごみも現像されてしまうため、人間の目によるチェックで、汚れを取り除く。
その後、版を洗浄し、表面保護用のガム引きを行った上で印刷工程へまわす。
刷版工程では、印刷する絵柄を見て、露光時間の調整を行うことがある。
印刷版に金赤などのベタと人物の顔写真が混在していたとする。
印刷時に金赤ベタの濃度を出すためにM版、Y版を盛る(インキを多く供給する)と、人物の肌まで赤くなってしまう。
このような場合は、刷版でM版、Y版の露光時間を多めにし、中間からハイライトにかけての網点を飛ばし気味にすることで、印刷時にM版、Y版を盛っても人物の肌が赤くならないようにする。
データから直接刷版を出力する方法がCTP(Computer to Plate)。
フィルムをのせて現像するという工程をとらないので、ごみ、焼きボケがなく、従来の刷版工程では飛んでしまった小さな網点も再現できる。
印刷方式によって刷版は異なり、軽オフセット印刷ではピンクマスターというピンク色の紙ベースの刷版を使用する。
グラビア印刷では、メッキした銅を腐食させた版を使う。