オフセット印刷機の中で、ロール状の巻取り紙に印刷する印刷機を、オフセット輪転印刷機、略して「オフ輪(オフりん)」とよぶ(断裁済み用紙を使う印刷機は「平台」とよぶ)。オフ輪の印刷機には、折り・断裁などを行うユニットがつけられ、印刷したものが断截されてでてきたり、16頁、32頁などの折本として出てきたりする。結束機やコンベアなども付属しているため、機械の全長は30m以上などとなり、平台の印刷機と比べて非常に長い。用紙はロール状のものを大量に使うため、紙倉庫が地下にあってロボットで給紙を行うなど、工場の規模も大きい。
非常に高速で印刷するので、雑誌、チラシなど大ロット(通し数20,000枚〜)の印刷物に向いていて、少部数には向かない。というのも、本刷りまでの色あわせ、見当合わせ、折り機の調整などに予備紙を多く使うためだ。一般に、10,000枚を超える通し数では、平台の予備率は1色あたり1%、オフ輪では3%といわれている。平台印刷機は両面フルカラー印刷で20,000枚通すのに1,600枚程度(8%)の予備紙で足りるが、オフ輪の場合は5,000枚程度(25%)の予備紙を必要とする。ただし、印刷代金そのものは低く抑えられており、大部数だと総額では安くなる。
印刷後、すぐに折り・断裁工程に入るために、インキを熱風で強制的に乾燥させる。乾燥ユニットでいったん130℃程度に加熱され、その後冷却ユニットで冷却する。用紙は乾燥しているので、湿しユニットで含有水分を調整する。調整を誤ると「火ぶくれ(用紙にしわが発生する)」、「背割れ(冊子の綴じ部で刷り本が破れてはずれる)」などのトラブルが起こる。
本文より表紙の小口が短く仕上がっている雑誌を見かけるが、表紙を平台、本文を輪転で印刷することから起こる現象。輪転で熱風により強制乾燥させた本文が、製本後に空気中の水分を吸って伸び、表紙よりも長くなったというわけ。